名曲・日本のこころ 歌心

天童よしみ( 天童芳美 ) 名曲・日本のこころ 歌心歌詞
1.酒は涙か溜息か

作詞:高橋掬太郎
作曲:古賀政男

酒は涙か
溜息か
こころのうさの
捨てどころ

とおいえにしの
かの人に
夜毎の夢の
切なさよ

酒は涙か
溜息か
かなしい恋の
捨てどころ

忘れた筈の
かの人に
のこる心を
なんとしょう


2.影を慕いて

作詞:古賀政男
作曲:古賀政男

まぼろしの
影を慕いて 雨に日に
月にやるせぬ 我が思い
つつめば燃ゆる 胸の火に
身は焦がれつつ しのび泣く

わびしさよ
せめて傷心(いたみ)の なぐさめに
ギターをとりて 爪びけば
どこまで時雨 ゆく秋ぞ
トレモロ淋し 身は悲し

君故に
永き人生(ひとよ)を 霜枯れて
永遠(とわ)に春見ぬ 我がさだめ
永ろうべきか 空蝉(うつせみ)の
儚なき影よ 我が恋よ


3.流転

作詞:藤田まさと
作曲:阿部武雄

男命を みすじの糸に
かけて三七 二十一目(さいのめ)くずれ
浮世かるたの 浮世かるたの
浮沈み

どうせ一度は あの世とやらへ
落ちて流れて 行く身じゃないか
鳴くな夜明けの 鳴くな夜明けの
渡り鳥

意地は男よ 情は女子(おなご)
ままになるなら 男を捨てて
俺も生きたや 俺も生きたや
恋のため


4.人生の並木道

作詞:佐藤惣之助
作曲:古賀政男

泣くな妹よ 妹よ泣くな
泣けば幼い 二人して
故郷をすてた 甲斐がない

遠いさびしい 日暮れの路で
泣いて叱った 兄さんの
涙の声を 忘れたか

雪も降れ降れ 夜路(よみち)のはても
やがてかがやく あけぼのに
わが世の春は きっと来る

生きてゆこうよ 希望に燃えて
愛の口笛 高らかに
この人生の 並木路


5.誰か故郷を想わざる

作詞:西條八十
作曲:古賀政男

花摘む野辺に 日は落ちて
みんなで肩を 組みながら
唄をうたった 帰りみち
幼馴染(おさななじみ)の あの友この友
ああ 誰か故郷を想わざる

ひとりの姉が 嫁ぐ夜に
小川の岸で さみしさに
泣いた涙の なつかしさ
幼馴染の あの山この川
ああ 誰か故郷を想わざる

都に雨の 降る夜は
涙に胸も しめりがち
遠く呼ぶのは 誰の声
幼馴染の あの夢この夢
ああ 誰か故郷を想わざる


6.星の流れに

作詞:清水みのる
作曲:利根一郎

星の流れに 身を占って
どこをねぐらの 今日の宿
荒(すさ)む心で いるのじゃないが
泣けて涙も 枯れはてた
こんな女に 誰がした

煙草ふかして 口笛ふいて
あてもない夜の さすらいに
人は見返る わが身は細る
町の灯影の わびしさよ
こんな女に 誰がした

飢えて今頃 妹はどこに
一目逢いたい お母さん
ルージュ哀(かな)しや 唇かめば
闇の夜風も 泣いて吹く
こんな女に 誰がした


7.九段の母

作詞:石松秋二
作曲:能代八郎

上野駅から 九段まで
かってしらない じれったさ
杖をたよりに 一日がかり
せがれきたぞや 会いにきた

空をつくよな 大鳥居
こんな立派な おやしろに
神とまつられ もったいなさよ
母は泣けます うれしさに

両手あわせて ひざまづき
おがむはずみの おねんぶつ
はっと気づいて うろたえました
せがれゆるせよ 田舎もの

鳶(とび)が鷹(たか)の子 うんだよで
いまじゃ果報(かほう)が 身にあまる
金鵄勲章(きんしくんしょう)が みせたいばかり
逢いに来たぞや 九段坂


8.あゝそれなのに

作詞:星野貞志
作曲:古賀政男

空にゃ今日も アドバルーン
さぞかし会社で 今頃は
おいそがしいと 思うたに
ああ それなのに それなのに
ねえ おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう

どこで何して いるかしら
なにか悲しい 日暮どき
思うは貴方の ことばかり
ああ それなのに それなのに
ねえ おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう

ひとり出ている お月様
窓で見ている このわたし
とぎれとぎれの 針仕事
ああ それなのに それなのに
ねえ おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう

夜更けに聞こえる 足の音
耳をすませば 胸が鳴る
帰って来たかと 立ち上る
ああ それなのに それなのに
ねえ おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう


9.湯島の白梅

作詞:佐伯孝夫
作曲:清水保雄

湯島通れば 想い出す
お鳶主税(ちから)の 心意気
知るや白梅 玉垣に
残る二人の 影法師

忘れられよか 筒井筒
岸の柳の 緑結び
堅い契りを 義理ゆえに
水に流すも 江戸育ち

青い瓦斯(ガス)燈 境内を
出れば本郷 切通(きりどう)し
あかぬ別れの 中空に
鐘は墨絵(すみえ)の 上野山


10.旅姿三人男

作詞:宮本旅人
作曲:鈴木哲夫

清水港の 名物は
お茶の香りと 男伊達
見たか聞いたか あの啖呵(たんか)
粋な小政の 粋な小政の 旅姿

富士の高嶺(たかね)の 白雪が
溶けて流れる 真清水で
男磨いた 勇み肌
なんで大政 なんで大政 国を売る

腕と度胸じゃ 負けないが
人情からめば ついほろり
見えぬ片眼に 出る涙
森の石松 森の石松 よい男


11.かえり船

作詞:清水みのる
作曲:倉若晴生

波の背の背に ゆられてゆれて
月の潮路の かえり船
霞む故国よ 小島の沖じゃ
夢もわびしく よみがえる

捨てた未練が 未練となって
今も昔の 切なさよ
瞼合わせりゃ 瞼にしみる
霧の波止場の 銅鑼(どら)の音

熱い涙も 故国に着けば
嬉し涙と 変わるだろ
鴎行くなら 男の心
せめてあの娘に 伝えてよ


12.憧れのハワイ航路

作詞:石本美由起
作曲:江口夜詩

晴れた空 そよぐ風
港出船の ドラの音愉(たの)し
別れテープを 笑顔で切れば
希望(のぞみ)はてない 遥かな潮路
あゝあこがれの ハワイ航路

波の背を バラ色に
染めて真赤な 夕陽が沈む
一人デッキで ウクレレ弾けば
歌もなつかし あのアロハオエ
あゝあこがれの ハワイ航路

とこ夏の 黄金(こがね)月
夜のキャビンの 小窓を照らす
夢も通うよ あのホノルルの
椰子の並木路 ホワイトホテル
あゝあこがれの ハワイ航路


13.啼くな小鳩よ

作詞:高橋掬太郎
作曲:飯田三郎

啼くな小鳩よ 心の妻よ
なまじなかれりゃ 未練がからむ
たとえ別りょと 互の胸に
抱いて居ようよ おもかげを

旅ははるばる 涯ないとても
呼べば届くよ 夜毎の夢に
思い出したら 祈ろじゃないか
つきぬえにしを 身の幸を

さらば小鳩よ 心の妻よ
瞳曇るな また逢う日まで
帽子振り振り 後ふり向けば
暁(あけ)の野風が ただ寒い


14.月がとっても青いから

作詞:清水みのる
作曲:陸奥明

月がとっても 青いから
遠廻りして 帰ろう
あの鈴懸の 並木路(なみきじ)は
想い出の 小径(こみち)よ
腕を優しく 組み合って
二人っきりで サ帰ろう

月の雫(しずく)に 濡れながら
遠廻りして 帰ろう
ふとゆきずりに 知り合った
想い出の この小径(みち)
夢をいとしく 抱きしめて
二人っきりで サ帰ろう

月もあんなに うるむから
遠廻りして 帰ろう
もう今日かぎり 逢えぬとも
想い出は 捨てずに
君と誓った 並木路(なみきみち)
二人っきりで サ帰ろう


15.無法松の一生(度胸千両入り)

作詞:吉野夫二郎
作曲:古賀政男

小倉生れで 玄海育ち
口も荒いが 気も荒い
無法一代 涙を捨てて
度胸千両で 生きる身の
男一代 無法松

空にひびいた あの音は
たたく太鼓の 勇駒
山車の 竹笹 堤灯は
赤い 灯(あかし)に ゆれて行く
今日は祇園の 夏祭
揃いの 浴衣の 若い衆は
綱を引出し 音頭とる
玄海灘の 風うけて
ばちがはげしく 右左
小倉 名代は 無法松
度胸千両の あばれうち

泣くな嘆くな 男じゃないか
どうせ実らぬ 恋じゃもの
愚痴や未練は 玄海灘に
捨てて太鼓の 乱れ打ち
夢も通えよ 女男波(みょうとなみ)


16.哀愁列車

作詞:横井弘
作曲:鎌多俊與

惚れて 惚れて
惚れていながら 行くおれに
旅をせかせる ベルの音
つらいホームに 来は来たが
未練心に つまづいて
落とす涙の 哀愁列車

燃えて 燃えて
燃えて過ごした 湯の宿に
うしろ髪ひく 灯がひとつ
今宵逢瀬(おうせ)を 待ちわびる
君の幸せ 祈りつつ
旅にのがれる 哀愁列車

泣いて 泣いて
泣いているのを 知らぬげに
窓は二人を 遠くする
堪(こら)えきれずに 見返れば
すがるせつない 瞳(め)のような
星がとぶとぶ 哀愁列車


17.別れの一本杉

作詞:高野公男
作曲:船村徹

泣けた 泣けた
こらえきれずに 泣けたっけ
あの娘(こ)と別れた かなしさに
山のかけすも 啼いていた
一本杉の
石の地蔵さんのョ 村はずれ

遠い 遠い
想い出しても 遠い空
必ず東京へ 着いたなら
便りおくれと 云った娘(ひと)
りんごのような
赤い頬(ほ)っぺたのョ あの涙

呼んで 呼んで
そっと月夜にゃ 呼んでみた
嫁にも行かずに この俺の
帰りひたすら 待っている
あの娘はいくつ
とうに二十(はたち)はョ 過ぎたろに


18.南国土佐を後にして

作詞:武政英策
作曲:武政英策

南国土佐を 後にして
都に来てから 幾とせぞ
思い出します 故郷の友が
門出に唄った よさこい節を

土佐の高知の ハリマヤ橋で
坊さんかんざし 買うをみた

月の浜辺で たき火を囲み
しばしの娯楽の ひとゝきを
わたしも自慢の 声はりあげて
うたうよ土佐の よさこい節を

みませ見せましょ 浦戸をあけて
月の名所は 桂浜

国の父さん 室戸の沖で
鯨釣ったと いう便り
わたしも負けずに はげんだ後で
うたうよ土佐の よさこい節を

云うたちいかんちゃ おらんくの池にゃ
潮吹く魚が 泳ぎよる
よさこい よさこい


19.明治一代女

作詞:藤田まさと
作曲:大村能章

浮いた浮いたと 浜町河岸に
浮かれ柳の 恥かしや
人目忍んで 小舟を出せば
すねた夜風が 邪魔をする

怨みますまい この世の事は
仕掛け花火に 似た命
燃えて散る間に 舞台が変わる
まして女は なおさらに

意地も人情も 浮世にゃ勝てぬ
みんな儚い 水の泡沫(あわ)
泣いちゃならぬと 言いつつ泣いて
月にくずれる 影法師


20.リンゴの唄

作詞:サトウハチロー
作曲:万城目正

赤いりんごに 口びるよせて
だまってみている 青い空
リンゴはなんにも いわないけれど
リンゴの気持は よくわかる
リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ

あの娘よい子だ 気立のよい娘
リンゴに良く似た 可愛いい娘
どなたがいったか うれしいうわさ
かるいクシャミも とんで出る
リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ

朝のあいさつ 夕べの別れ
いとしいリンゴに ささやけば
言葉は出さずに 小くびをまげて
あすも又ねと 夢見がお
リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ

歌いましょうか リンゴの歌を
二人で歌えば なおたのし
皆なで歌えば なおなおうれし
リンゴの気持を 伝えよか
リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ


21.ふるさとの燈台

作詞:清水みのる
作曲:長津義司

真帆片帆(まほかたほ) 唄をのせて通う
ふるさとの 小島よ
燈台の岬よ
白砂に 残る思い出の
いまも仄かに
さざなみは さざなみは
胸をゆするよ

漁火の 遠く近くゆるる
はるかなる 小島よ
燈台のわが家よ
なつかしき 父のまた母の
膝はゆりかご
いつの日も いつの日も
夢をさそうよ

歳ふりて 星に月に偲ぶ
むらさきの 小島よ
燈台のあかりよ
そよかぜの あまき調べにも
おもいあふれて
流れくる 流れくる
あつき涙よ


22.赤いランプの終列車

作詞:大倉芳郎
作曲:江口夜詩

白い夜霧の 灯りに濡れて
別れ切ない プラットホーム
ベルが鳴る ベルが鳴る
さらばと告げて 手を振る君は
赤いランプの終列車

涙かくして ほほえみ合うて
窓に残した 心の温み
あの人は あの人は
何日また逢える 旅路の人か
赤いランプの終列車

遠い汽笛に うすれる影に
一人佇む プラットホーム
さようなら さようなら
瞼の奥に 哀しく消える
赤いランプの終列車


23.銀座カンカン娘

作詞:佐伯孝夫
作曲:服部良一

あの娘(こ)可愛いや カンカン娘
赤いブラウス サンダルはいて
誰を待つやら 銀座の街角
時計ながめて ソワソワニヤニヤ
これが銀座の カンカン娘
これが銀座の カンカン娘

雨に降られて カンカン娘
傘もささずに 靴までぬいで
ままよ銀座は 私のジャングル
虎や狼 恐くはないのよ
これが銀座の カンカン娘
これが銀座の カンカン娘

指をさされて カンカン娘
ちょいと啖呵(たんか)も 切りたくなるわ
家(うち)がなくても お金がなくても
男なんかに だまされまいぞよ
これが銀座の カンカン娘
これが銀座の カンカン娘

カルピス飲んで カンカン娘
一つグラスに ストローが二本
初恋の味 忘れちゃいやよ
顔を見合わせ チュウチュウチュウチュウ
これが銀座の カンカン娘
これが銀座の カンカン娘


24.リンゴ村から

作詞:矢野亮
作曲:林伊佐緒

おぼえているかい 故郷の村を
便りも途絶えて 幾年(いくとせ)過ぎた
都へ積出す 真赤なリンゴ
見る度辛いよ 俺らのナ俺らの胸が

おぼえているかい 別れたあの夜
泣き泣き走った 小雨のホーム
上りの夜汽車の にじんだ汽笛
切なく揺(ゆす)るよ 俺らのナ俺らの胸を

おぼえているかい 子供の頃に
二人で遊んだ あの山小川
昔とちっとも 変わっちゃいない
帰っておくれよ 俺らのナ俺らの胸に


25.愛ちゃんはお嫁に

作詞:原俊雄
作曲:村沢良介

さようなら さようなら 今日限り
愛ちゃんは太郎の 嫁になる
俺らのこころを 知りながら
でしゃばりお米に 手を引かれ
愛ちゃんは太郎の 嫁になる

さようなら さようなら 悲しい日
愛ちゃんは俺らに ウソついた
ウソとは知らずに まにうけて
夢を見ていた あまい夢
愛ちゃんは俺らに ウソついた

さようなら さようなら 遠ざかる
愛ちゃんは太郎と しあわせに
なみだをこらえりゃ はらはらと
ひと雨キツネの お嫁入り
愛ちゃんは太郎と しあわせに


26.お座敷小唄

作詞:不詳
作曲:陸奥明

富士の高嶺に 降る雪も
京都先斗町(ぽんとちょう)に 降る雪も
雪に変りは ないじゃなし
とけて流れりゃ 皆同じ

好きで好きで 大好きで
死ぬ程好きな お方でも
妻と言う字にゃ 勝てやせぬ
泣いて別れた 河原町

ぼくがしばらく 来ないとて
短気おこして やけ酒を
飲んで身体を こわすなよ
お前一人の 身ではない

一目見てから 好きになり
ほどの良いのに ほだされて
よんでよばれて いる内に
忘れられない 人となり

どうかしたかと 肩に手を
どうもしないと うつむいて
目にはいっぱい 泪ため
貴方しばらく 来ないから

唄はさのさか どどいつか
唄の文句じゃ ないけれど
お金も着物も いらないわ
貴方ひとりが 欲しいのよ


27.湯の町エレジー

作詞:野村俊夫
作曲:古賀政男

伊豆の山々 月あわく
灯りにむせぶ 湯のけむり
ああ 初恋の
君をたずねて 今宵また
ギターつまびく 旅の鳥

風のたよりに 聞く君は
出泉(いでゆ)の町の 人の妻
ああ 相見(あいみ)ても
晴れて語れぬ この思い
せめてとどけよ 流し唄

淡い湯の香も 露地裏も
君住む故に なつかしや
ああ 忘られぬ
夢を慕いて 散る泪
今宵ギターも 咽びなく


28.おさげと花と地蔵さんと

作詞:東條寿三郎
作曲:細川潤一

指をまるめて のぞいたら
黙ってみんな 泣いていた
日ぐれの空の その向こう
さようなら
呼べば遠くで さようなら
おさげと花と 地蔵さんと

あれから三年 もう三月
変わらず今も あのままで
空見て立って いるのやら
さようなら
耳をすませば さようなら
おさげと花と 地蔵さんと

なんにもいわずに 手をあげて
爪立ちながら 見てたっけ
思いはめぐる あかね空
さようなら
呼べばどこかで さようなら
おさげと花と 地蔵さんと


29.港が見える丘

作詞:東辰三
作曲:東辰三

あなたと二人で 来た丘は
港が見える丘
色あせた桜 唯一つ
淋しく 咲いていた
船の汽笛 咽(むせ)び泣けば
チラリホラリと 花片(はなびら)
あなたと私に 降りかかる
春の午後でした

あなたと別れた あの夜は
港が暗い夜
青白い灯り 唯一つ
桜を 照らしてた
船の汽笛 消えて行けば
チラリチラリと 花片
涙の雫に きらめいた
霧の夜でした

あなたを想うて 来る丘は
港が見える丘
葉桜をソヨロ 訪れる
しお風 浜の風
船の汽笛 遠く聞いて
ウツラトロリと 見る夢
あなたの口許 あの笑顔
淡い夢でした


30.ここに幸あり

作詞:高橋掬太郎
作曲:飯田三郎

嵐も吹けば 雨も降る
女の道よ なぜ険し
君を頼りに 私は生きる
ここに幸あり 青い空

誰にも言えぬ 爪のあと
心にうけた 恋の鳥
ないてのがれて さまよい行けば
夜の巷の 風かなし

命のかぎり 呼びかける
谺(こだま)の果(は)てに 待つは誰
君によりそい 明るく仰ぐ
ここに幸あり 白い雲


31.高原列車は行く

作詞:丘灯至夫
作曲:古関裕而

汽車の窓から ハンケチ振れば
牧場の乙女が 花束投げる
明るい青空 白樺林
山越え谷越え はるばると ララ……
高原列車は ララ…… 行くよ

みどりの谷間に 山百合ゆれて
歌声ひびくよ 観光バスよ
君らの泊りも 温泉(いでゆ)の宿か
山越え谷越え はるばると ララ…
高原列車は ララ…… 行くよ

峠を越えれば 夢見るような
五色の湖 飛び交う小鳥
汽笛も二人の しあわせうたう
山越え谷越え はるばると ララ……
高原列車は ララ…… 行くよ


32.ああ上野駅

作詞:関口義明
作曲:荒井英一

どこかに故郷の 香りをのせて
入る列車の なつかしさ
上野は俺らの 心の駅だ
くじけちゃならない 人生が
あの日ここから 始まった

「父ちゃん 僕がいなくなったんで
母ちゃんの畑仕事も大変だろうなあ、
今度の休みには必ずかえるから、
そのときには父ちゃんの肩も母ちゃんの肩も、
もういやだっていうまでたたいてやるぞ、
それまで元気で待っててくれよな」

就職列車に ゆられて着いた
遠いあの夜を 思い出す
上野は俺らの 心の駅だ
配達帰りの 自転車を
とめて聞いてる 国なまり

ホームの時計を 見つめていたら
母の笑顔に なってきた
上野は俺らの 心の駅だ
お店の仕事は 辛いけど
胸にゃでっかい 夢がある


33.山の吊橋

作詞:横井弘
作曲:吉田矢健治

山の吊橋ゃ どなたが通る
せがれなくした 鉄砲うちが
話相手の 犬つれて
熊の親父を みやげにすると
鉄砲ひとなで して通る
ホレ ユーラユラ

山の吊橋ゃ どなたが通る
遠い都へ はなれた人を
そっとしのびに 村むすめ
谷の瀬音が 心にしむか
涙ひとふき して通る
ホレ ユーラユラ

山の吊橋ゃ どなたが通る
酒が切れたか 背中をまるめ
呑んべェ炭やき いそぎ足
月をたよりに 枯葉のように
くしゃみつづけて して通る
ホレ ユーラユラ


34.湖畔の宿

作詞:佐藤惣之助
作曲:服部良一

山の淋しい 湖に
ひとり来たのも 悲しい心
胸のいたみに たえかねて
昨日(きのう)の夢と 焚(た)きすてる
古い手紙の うすけむり

水にたそがれ せまる頃
岸の林を しずかに行けば
雲は流れて むらさきの
薄(うす)きすみれに ほろほろと
いつか涙の 陽(ひ)がおちる

ランプ引きよせ ふるさとへ
書いてまた消す 湖畔の便り
旅のこころの つれづれに
ひとり占う トランプの
青い女王(クイーン)の さびしさよ


35.潮来笠

作詞:佐伯孝夫
作曲:吉田正

潮来の伊太郎 ちょっと見なれば
薄情そうな 渡り鳥
それでいいのさ あの移り気な
風が吹くまま 西東
なのにヨー なぜに眼に浮く潮来笠

田笠の紅緒が ちらつくようじゃ
振り分け荷物 重かろに
わけはきくなと 笑ってみせる
粋な単衣の 腕まくり
なのにヨー 後髪引く 潮来笠

旅空夜空で いまさら知った
女の胸の 底の底
ここは関宿 大利根川へ
人にかくして 流す花
だってヨー あの娘に川下 潮来笠


36.お月さん今晩は

作詞:松村又一
作曲:遠藤実

こんな淋しい 田舎の村で
若い心を 燃やしてきたに
可愛いあの娘は 俺(おら)を見捨てて
都へ行っちゃった
リンゴ畑の お月さん今晩は
噂を聞いたら 教えておくれよなあ

憎い女と 恨んでみたが
忘れられない 心のよわさ
いとしあの娘は どこにいるやら
逢いたくなっちゃった
リンゴ畑の お月さん今晩は
噂を聞いたら 教えておくれよなあ

祭りばやしを 二人できいて
語りあかした あの夜が恋し
あの娘想えば 俺も何んだか
泣きたくなっちゃった
リンゴ畑の お月さん今晩は
噂を聞いたら 教えておくれよなあ


37.高原の駅よさようなら

作詞:佐伯孝夫
作曲:佐々木俊一

しばし別れの 夜汽車の窓よ
いわず語らずに 心とこころ
またの逢う日を 目と目でちかい
涙見せずに さようなら

旅のおひとと うらまでお呉れ
二人抱(いだ)いて ながめた月を
離れはなれて 相呼(あいよ)ぶ夜は
男涙で くもらせる

わかりましたわ わかってくれた
あとは言うまい 聞かずにお呉れ
想い切(せつ)なく 手に手をとれば
笛がひびくよ 高原の駅


38.いつでも夢を

作詞:佐伯孝夫
作曲:吉田正

星よりひそかに 雨よりやさしく
あの娘はいつも 歌ってる
声がきこえる 淋しい胸に
涙に濡れた この胸に
言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
星よりひそかに 雨よりやさしく
あの娘はいつも 歌ってる

歩いて歩いて 悲しい夜更けも
あの娘の声は 流れくる
すすり泣いてる この顔上げて
きいてる歌の 懐かしさ
言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
歩いて歩いて 悲しい夜更けも
あの娘の声は 流れくる

言っているいる お持ちなさいな
いつでも夢を いつでも夢を
はかない涙を うれしい涙に
あの娘はかえる 歌声で


39.東京ブギウギ

作詞:鈴木勝
作曲:服部良一

東京ブギウギ リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
海を渡り響くは 東京ブギウギ
ブギの踊りは 世界の踊り
二人の夢の あのうた
口笛吹こう 恋と
ブギのメロディ
燃ゆる心のうた 甘い恋の歌声に
君と踊ろよ 今宵も月の下で
東京ブギウギ リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
せいきのうた 心のうた
東京ブギウギ ヘイー

さあさブギウギ たいこたたいて
派手に踊ろよ 歌およ
君も僕も愉快な 東京ブギウギ
ブギを踊れば 世界は一つ
同じリズムとメロディよ
手拍子取って 歌おう
ブギのメロディ
燃ゆる心のうた 甘い恋の歌声に
君と踊ろよ 今宵も星をあびて
東京ブギウギ リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
世界のうた 楽しいうた
東京ブギウギ

ブギウギ 陽気なうた
東京ブギウギ
ブギウギ せいきのうた
歌え踊れよ ブギウギ


40.有楽町で逢いましょう

作詞:佐伯孝夫
作曲:吉田正

あなたを待てば 雨が降る
濡れて来ぬかと 気にかかる
ああビルのほとりの ティールーム
雨も愛しや 唄ってる
甘いブルース あなたと私の合言葉
「有楽町で逢いましょう」

心に沁みる 雨の唄
駅のホームも 濡れたろう
ああ小窓にけむる デパートよ
今日の映画(シネマ)は ロードショウ
かわす囁き あなたと私の合言葉
「有楽町で逢いましょう」

悲しい宵は 悲しよに
燃えるやさしい 街灯り
ああ命をかけた 恋の花
咲いておくれよ いつまでも
いついつ迄も あなたと私の合言葉
「有楽町で逢いましょう」


41.一本刀土俵入り

作詞:藤田まさと
作曲:春川一夫

千両万両 積んだとて
銭じゃ買えない 人ごころ
受けた情の 数々に
上州子鴉 泣いて居ります
泣いて居ります この通り

「わしゃア姐さんのようないい人に、
めぐり逢ったのは初めてだ、はい、はい、きっと成ります。
横綱になった姿を姐さんに見て貰います。
そしてなア、わしゃ、死んだおっ母さんの御墓の前で
立派な土俵入りがしたい……。」

野暮な浮世の うら表
教えこまれて 一昔
夢でござんす なにもかも
角力(すもう)修業も 今じゃ日蔭の
今じゃ日蔭の 三度笠

「角力にゃなれず、やくざになって尋ねて見りゃこの始末。
さァ、姐さん、この金持って、早くお行きなせえまし。
飛ぶにぁ今が汐時だ。後はあっしが引受けました。
さァ、早く早く行きなさいまし。ああ、もし、お蔦さん。
親子三人、何時までも仲良く御暮しなさんせ。
十年前に 櫛、笄(こうがい)、巾着ぐるみ、意見を貰った姐はんへ、
せめて見て貰う駒形のしがねぇ姿の土俵入りでござんす。」

御恩返しの 真似ごとは
取手宿場の 仁義沙汰
御覧下され お蔦さん
せめて茂兵衛の 花の手数(でず)入り
花の手数入り 土俵入り


42.関東春雨傘

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

関東一円 雨降るときは
さして行こうよ 蛇の目傘
どうせこっちは ぶん流し
エー エー…
エー抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
あとにゃ引かない 女伊達(だて)

花が散ります 桜の花が
太く短い 命なら
派手に行こうよ この啖呵
エー エー…
エー抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
こわいものなし 女伊達

女だてらに 朱鞘(しゅざや)を差して
罪でござんす ご時世が
やくざ渡世の 身の辛さ
エー エー…
エー抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
恋も知らない 女伊達


43.涙の酒

作詞:伊吹とおる
作曲:小池青磁

男一途の 火の恋を
何んで涙で けされよう
未練ばかりが ただつのる
夜の暗さを はしご酒

浴びておぼれて なお酔えぬ
酒のにがさを かみしめる
露地の屋台の 灯にさえも
男心が 泣ける夜

涙ぐんでた あの顔に
なんで嘘など あるもんか
噂なんだぜ 噂だと
胸にきかせる はしご酒


44.京都慕情

作詞:林春生
作曲:Don Wilson・Mel Taylor・Gerry McGee・John Durrill

あの人の姿 懐かしい
黄昏の 河原町
恋は 恋は 弱い女を
どうして 泣かせるの
苦しめないで あゝ責めないで
別れのつらさ 知りながら
あの人の言葉 想い出す
夕焼けの高瀬川

遠い日の 愛の残り火が
燃えてる嵐山
すべて すべて あなたのことが
どうして消せないの
苦しめないで あゝ責めないで
別れのつらさ 知りながら
遠い日は二度と帰らない
夕やみの東山

苦しめないで あゝ責めないで
別れのつらさ 知りながら
遠い日は二度と帰らない
夕やみの桂川


45.夜霧よ今夜も有難う

作詞:浜口庫之助
作曲:浜口庫之助

しのび会う恋を
つつむ夜霧よ
知っているのか
ふたりの仲を
晴れて会える
その日まで
かくしておくれ 夜霧 夜霧
僕等はいつも
そっと云うのさ
夜霧よ今夜も有難う

夜更けの街に
うるむ夜霧よ
知っているのか
別れのつらさ
いつか二人で
つかむ幸せ
祈っておくれ 夜霧 夜霧
僕等はいつも
そっと云うのさ
夜霧よ今夜も有難う


46.黒い花びら


47.赤坂の夜は更けて

作詞:鈴木道明
作曲:鈴木道明

いま頃どうして いるのかしら
せつない想いに ゆれる灯影
むなしい未練とは 知りながら
恋しい人の名を ささやけば
逢いたい気持ちは つのるばかり
赤坂の夜は 更けゆく

夜霧が流れる 一つ木あたり
冷たくかすんだ 街の灯よ
虚ろなる心に たえずして
涙ぐみひそかに 酔う酒よ
身にしむわびしさ しんみりと
赤坂の夜は 更けゆく


48.帰ろかな


49.上を向いて歩こう


50.下町の太陽

作詞:横井弘
作曲:江口浩司

下町の空に かがやく太陽は
よろこびと 悲しみ写す ガラス窓
心のいたむ その朝は
足音しみる 橋の上
あゝ太陽に 呼びかける

下町の恋を 育てた太陽は
縁日に 二人で分けた 丸いあめ
口さえ聞けず 別れては
祭りの午後の なつかしく
あゝ太陽に 涙ぐむ

下町の屋根を 温める太陽は
貧しくも 笑顔を消さぬ 母の顔
悩みを夢を うちあけて
路地にも幸の くるように
あゝ太陽と 今日もまた


51.明日があるさ

作詞:青島幸男
作曲:中村八大

いつもの駅でいつも逢う
セーラー服のお下げ髪
もうくる頃 もうくる頃
今日も待ちぼうけ
明日がある 明日がある 明日があるさ

ぬれてるあの娘コウモリへ
さそってあげよと待っている
声かけよう 声かけよう
だまって見てる僕
明日がある 明日がある 明日があるさ

今日こそはと待ちうけて
うしろ姿をつけて行く
あの角まで あの角まで
今日はもうヤメタ
明日がある 明日がある 明日があるさ

思いきってダイヤルを
ふるえる指で回したよ
ベルがなるよ ベルがなるよ
出るまで待てぬ僕
明日がある 明日がある 明日があるさ

はじめて行った喫茶店
たった一言好きですと
ここまで出て ここまで出て
とうとう云えぬボク
明日がある 明日がある 明日があるさ

明日があるさ明日がある
若い僕には夢がある
いつかきっと いつかきっと
わかってくれるだろう
明日がある 明日がある 明日があるさ


52.涙を抱いた渡り鳥

作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介

ひと声ないては 旅から旅へ
くろうみやまの ほととぎす
今日は淡路か 明日は佐渡か
遠い都の 恋しさに
濡らす袂の はずかしさ
いいさ 涙を抱いた渡り鳥

女と生れた よろこびさえも
知らぬ他国の 日暮道
ままよ浮世の 風まま気まま
つばさぬらして 飛んで行く
乙女心の 一人旅
いいさ 涙を抱いた渡り鳥

見せてはならない 心の傷を
かくす笑顔に 月も輝(て)る
口にゃだすまい 昔のことは
水に流して はればれと
仰ぐ夜空も 久し振り
いいさ 涙を抱いた渡り鳥


53.北国の青い空

作詞:橋本淳
作曲:Donald L.Wilson・Bob Bogle・Nole F.Edwards・Mel Taylor

風にまかれた 私の髪に
野ばらの甘い かおりがせつない
北国の空と湖
二人の愛は ここにねむる

あなたのために 私は祈る
二度と帰らない 夏の日の恋よ 恋よ
白い小舟に 野ばらをかざる
北国の青い 空はないてる

あなたのために 私は祈る
二度と帰らない 夏の日の恋よ 恋よ
白い小舟に 野ばらをかざる
北国の青い 空はないてる


54.真赤な太陽

作詞:吉岡治
作曲:原信夫

まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
渚(なぎさ)をはしる ふたりの髪に
せつなくなびく 甘い潮風よ
はげしい愛に 灼(や)けた素肌は
燃えるこころ 恋のときめき
忘れず残すため
まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
渚に消えた ふたりの恋に
砕ける波が 白く目にしみる
くちづけかわし 永遠(とわ)を誓(ちか)った
愛の孤独 海にながして
はげしく身をまかす
いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
恋の季節なの 恋の季節なの


55.襟裳岬

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

北の街ではもう 悲しみを暖炉で
もやしはじめてるらしい
わけのわからないことで
悩んでいるうち おいぼれてしまうから
だまりとおした歳月を
ひろい集めて暖めあおう
えりもの春は何もない春です

君は二杯めだよね コーヒーカップに
角砂糖をひとつだったね
すててきてしまった
わずらわしさだけを くるくるかきまわして
通りすぎた夏のにおい
想い出してなつかしいね
えりもの春は何もない春です

日々のくらしはいやでも やってくるけど
静かに笑ってしまおう いじけることだけが
生きることだと かいならしすぎたので
身構えながら 話すなんて
ああ おくびょうなんだよね
えりもの春は 何もない春です
寒い友だちが 訪ねてきたよ
えんりょはいらないから 暖まってゆきなよ


56.知床旅情

作詞:森繁久彌
作曲:森繁久彌

知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば
はるかクナシリに 白夜は明ける

旅の情けか 酔うほどにさまよい
浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う

別れの日は来た 知床の村にも
君は出てゆく 峠をこえて
忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん
私を泣かすな 白いかもめよ

白いかもめよ


57.青い山脈

作詞:西條八十
作曲:服部良一

若くあかるい 歌声に
雪崩(なだれ)は消える 花も咲く
青い山脈 雪割桜
空のはて
今日もわれらの 夢を呼ぶ

古い上衣よ さようなら
さみしい夢よ さようなら
青い山脈 バラ色雲へ
あこがれの
旅の乙女に 鳥も啼く

雨にぬれてる 焼けあとの
名も無い花も ふり仰ぐ
青い山脈 かがやく嶺の
なつかしさ
見れば涙が またにじむ

父も夢みた 母も見た
旅路のはての その涯の
青い山脈 みどりの谷へ
旅をゆく
若いわれらに 鐘が鳴る


58.霧の摩周湖

作詞:水島哲
作曲:平尾昌晃

霧にだかれて しずかに眠る
星も見えない 湖にひとり
ちぎれた愛の 思い出さえも
映さぬ水に あふれる涙
霧にあなたの 名前をよべば
こだませつない 摩周湖の夜

あなたがいれば 楽しいはずの
旅路の空も 泣いてる霧に
いつかあなたが 話してくれた
北のさいはて 摩周湖の夜


59.北の宿から

作詞:阿久悠
作曲:小林亜星

あなた変わりはないですか
日毎寒さがつのります
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編んでます
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿

吹雪まじりに汽車の音
すすり泣くよに聞こえます
お酒ならべてただ一人
涙唄など歌います
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿

あなた死んでもいいですか
胸がしんしん泣いてます
窓にうつして寝化粧を
しても心は晴れません
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿


60.浪花節だよ人生は

作詞:藤田まさと
作曲:四方章人

飲めと言われて 素直に飲んだ
肩を抱かれて その気になった
馬鹿な出逢いが 利口に化けて
よせばいいのに 一目惚れ
浪花節だよ 女の女の人生は

嘘は誰かが 教えてくれる
恋も誰かが 見つけてくれる
そんな誰かに 振り廻されて
消えた女が またひとり
浪花節だよ 女の女の人生は

咲いて萎(しぼ)んで 捨てられました
逢って別れて 諦(あきら)めました
人の情けに つかまりながら
折れた情けの 枝で死ぬ
浪花節だよ 女の女の人生は


61.矢切の渡し

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

つれて逃げてよ……
ついて おいでよ……
夕ぐれの雨が降る 矢切の渡し
親のこころに そむいてまでも
恋に生きたい 二人です

見すてないでね……
捨てはしないよ……
北風が泣いて吹く 矢切の渡し
噂かなしい 柴又すてて
舟にまかせる さだめです

どこへ行くのよ……
知らぬ土地だよ……
揺れながら艪(ろ)が咽(むせ)ぶ 矢切の渡し
息を殺して 身を寄せながら
明日へ漕ぎだす 別れです


62.忘れな草をあなたに

作詞:木下龍太郎
作曲:江口浩司

別れても 別れても 心の奥に
いつまでも いつまでも
おぼえておいて ほしいから
しあわせ祈る ことばにかえて
忘れな草を あなたに あなたに

いつの世も いつの世も 別れる人と
会う人の 会う人の
さだめは常に あるものを
ただ泣きぬれて 浜辺につんだ
忘れな草を あなたに あなたに

喜びの 喜びの 涙にくれて
抱き合う 抱き合う
その日がいつか くるように
ふたりの愛の 思い出そえて
忘れな草を あなたに あなたに


63.柿の木坂の家

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

春には 柿の花が咲き
秋には 柿の実が熟(う)れる
柿の木坂は 駅まで三里
思いだすなァ ふる里のヨ
乗合いバスの 悲しい別れ

春には 青いめじろ追い
秋には 赤いとんぼとり
柿の木坂で 遊んだ昔
懐しいなァ しみじみとョ
こころに返る 幼ない夢が

春くりゃ 偲(しの)ぶ馬の市
秋くりゃ 恋し村祭り
柿の木坂の あの娘(こ)の家よ
逢ってみたいなァ 今も尚(なお)ョ
機織(はたお)りながら 暮していてか


64.星影のワルツ

作詞:白鳥園枝
作曲:遠藤実

別れることは つらいけど
仕方がないんだ 君のため
別れに星影の ワルツをうたおう…
冷たい心じゃないんだよ
冷たい心じゃないんだよ
今でも好きだ 死ぬ程に

一緒になれる 倖せを
二人で夢見た ほほえんだ
別れに星影の ワルツをうたおう…
あんなに愛した仲なのに
あんなに愛した仲なのに
涙がにじむ 夜の窓

さよならなんて どうしても
いえないだろうな 泣くだろな
別れに星影の ワルツをうたおう…
遠くで祈ろう倖せを
遠くで祈ろう倖せを
今夜も星が 降るようだ


65.愛燦燦

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

雨 潸々(さんさん)と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね
それでも過去達は 優しく睫毛(まつげ)に憩(いこ)う
人生って 不思議なものですね

風 散々と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね
それでも未来達は 人待ち顔してほほえむ
人生って 嬉しいものですね

愛 燦々(さんさん)と この身に降って
心秘そかな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね
ああ過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

ああ 未来達は 人待ち顔してほほえむ
人生って 嬉しいものですね


66.おまえに惚れた

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

俺にきめろよ まよわずに
言って振り向きゃ ついてくる
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
肩を抱きよせ 眸(め)をのぞきゃ
頬に紅さす おまえに惚れた

あなた躰(からだ)に 悪いわと
水でお酒を 割ってだす
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
言葉づかいも 女房を
きどる今夜の おまえに惚れた

金じゃ幸せ 買えないと
俺を泣かせる 憎いやつ
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
空を見上げりゃ 星ひとつ
そっと指さす おまえに惚れた


67.みだれ髪

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎くや 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つら)や 重(おも)たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重に 巻いた帯
三重に巻いても 余る秋
暗(くら)や 涯(は)てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ


68.風雪ながれ旅

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

破れ単衣(ひとえ)に 三味線だけば
よされよされと 雪が降る
泣きの十六 短い指に
息を吹きかけ 越えてきた
アイヤー アイヤー
津軽 八戸(はちのへ) 大湊(おおみなと)

三味が折れたら 両手を叩け
バチが無ければ 櫛でひけ
音の出るもの 何でも好きで
かもめ啼く声 ききながら
アイヤー アイヤー
小樽 函館 苫小牧(とまこまい)

鍋のコゲ飯(めし) 袂(たもと)で隠し
抜けてきたのか 親の目を
通い妻だと 笑った女の
髪の匂いも なつかしい
アイヤー アイヤー
留萠(るもい) 滝川 稚内(わっかない)


69.王将

作詞:西條八十
作曲:船村徹

吹けば飛ぶよな 将棋の駒に
賭けた命を 笑わば笑え
うまれ浪花の 八百八橋
月も知ってる 俺らの意気地

あの手この手の 思案を胸に
やぶれ長屋で 今年も暮れた
愚痴も言わずに 女房の小春
つくる笑顔が いじらしい

明日は東京に 出て行くからは
なにがなんでも 勝たねばならぬ
空に灯がつく 通天閣に
おれの闘志が また燃える


70.夫婦春秋

作詞:関沢新一
作曲:市川昭介

ついて来いとは 言わぬのに
だまってあとから ついて来た
俺が二十(はたち)で お前が十九
さげた手鍋の その中にゃ
明日(あす)のめしさえ なかったな
おまえ

ぐちも涙も こぼさずに
貧乏おはこと 笑ってた
そんな強気の お前がいちど
やっと俺(おい)らに 陽がさした
あの日なみだを こぼしたな
おまえ

九尺二間(くしゃくにけん)が 振り出しで
胸(むな)つき八丁の 道ばかり
それが夫婦(めおと)と 軽くは言うが
俺とお前で 苦労した
花は大事に 咲かそうな
おまえ


71.ソーラン渡り鳥

作詞:石本美由起
作曲:遠藤実

津軽の海を 越えて来た
塒(ねぐら)持たない みなしごつばめ
江差恋しや 鰊場恋し
三味を弾く手に 想いをこめて
ヤーレン ソーラン ソーラン……
唄う ソーラン ああ渡り鳥

故郷の港 偲んでも
夢も届かぬ 北国の空
愛嬌えくぼに 苦労を隠し
越えた此の世の 山川幾つ
ヤーレン ソーラン ソーラン……
旅の ソーラン ああ渡り鳥

瞼の裏に 咲いている
幼馴染みの はまなすの花
辛いことには 泣かないけれど
人の情が 欲しくて泣ける
ヤーレン ソーラン ソーラン……
娘 ソーラン ああ渡り鳥


72.出世街道

作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介

やるぞみておれ 口にはださず
腹におさめた 一途な夢を
曲げてなるかよ くじけちゃならぬ
どうせこの世は 一ぽんどっこ

男のぞみを つらぬく時にゃ
敵は百万 こちらはひとり
なんの世間は こわくはないが
おれはあの娘の 涙がつらい

他人(ひと)に好かれて いい子になって
落ちて行くときゃ 独りじゃないか
おれの墓場は おいらがさがす
そうだその気で ゆこうじゃないか

あの娘ばかりが 花ではないさ
出世街道 色恋なしだ
泣くな怒るな こらえてすてろ
明日(あす)も嵐が 待ってるものを


73.瞼の母(セリフ入り)

作詞:坂口ふみ緒
作曲:坂口ふみ緒

軒下三寸 借りうけまして
申しあげます おっ母さん
たった一言 忠太郎と
呼んでくだせぇ 呼んでくだせぇ たのみやす

(セリフ)
おかみさん、今何とか言いなすったね
親子の名のりが したかったら
堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが
笑わしちゃいけねえぜ 親にはぐれた子雀が
ぐれたを叱るは 無理な話よ
愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇ
おかみさん 俺の言うことを よく聞きなせぇ
尋ね 尋ねた母親に
倅と呼んで もらえぬような
こんなやくざに 誰がしたんでぇ

世間の噂が 気になるならば
こんなやくざを なぜ生んだ
つれのうござんす おっ母さん
月も雲間で 月も雲間で もらい泣き

(セリフ)
何を言ってやんでぇ
何が今更、忠太郎だ 何が倅でぇ
俺にゃおっ母さんは、いねぇんでぇ
おっ母さんは、俺の心の底に居るんだ
上と下の瞼を合わせりゃ 逢わねぇ昔の
やさしい おっ母の面影が浮かんでくらぁ
逢いたくなったら
逢いたくなったら 俺ァ瞼をつむるんだ

逢わなきゃよかった 泣かずにすんだ
これが浮世と いうものか
水熊横丁は 遠灯り
縞の合羽に 縞の合羽に 雪が散る

おっ母さん


74.岸壁の母(セリフ入り)

作詞:藤田まさと
作曲:藤田まさと

母は来ました 今日も来た
この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて

(セリフ)
「又引き揚げ船が帰って来たに、
今度もあの子は帰らない。
この岸壁で待っているわしの姿が見えんのか……。
港の名前は舞鶴なのに何故
飛んで来てはくれぬのじゃ……。
帰れないなら大きな声で……
お願い……せめて、せめて一言……。」

呼んで下さい おがみます
ああ おっ母さんよく来たと
海山千里と言うけれど
なんで遠かろ なんで遠かろ
母と子に

(セリフ)
「あれから十年……。あの子はどうしているじゃろう。
雪と風のシベリアは寒いじゃろう……
つらかったじゃろうと命の限り抱きしめて……
この肌で温めてやりたい……。
その日の来るまで死にはせん。
いつまでも待っている……」

悲願十年 この祈り
神様だけが 知っている
流れる雲より 風よりも
つらいさだめの つらいさだめの
杖ひとつ

(セリフ)
「ああ風よ、心あらば伝えてよ。
愛し子待ちて今日も又、
怒濤砕くる岸壁に立つ母の姿を……」


75.長崎の鐘

作詞:サトウ・ハチロー
作曲:古関裕而

こよなく晴れた 青空を
悲しと思う せつなさよ
うねりの波の 人の世に
はかなく生きる 野の花よ
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の鐘が鳴る

召されて妻は 天国へ
別れてひとり 旅立ちぬ
かたみに残る ロザリオの
鎖に白き わが涙
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の鐘が鳴る

こころの罪を うちあけて
更けゆく夜の 月すみぬ
貧しき家の 柱にも
気高(けだか)く白き マリア様
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の鐘が鳴る


76.くちなしの花

作詞:水木かおる
作曲:遠藤実

いまでは指輪も まわるほど
やせてやつれた おまえのうわさ
くちなしの花の 花のかおりが
旅路のはてまで ついてくる
くちなしの 白い花
おまえのような 花だった

わがままいっては 困らせた
子供みたいな あの日のおまえ
くちなしの雨の 雨のわかれが
今でもこころを しめつける
くちなしの 白い花
おまえのような 花だった

小さなしあわせ それさえも
捨ててしまった 自分の手から
くちなしの花を 花を見るたび
淋しい笑顔が またうかぶ
くちなしの 白い花
おまえのような 花だった


77.君は心の妻だから

作詞:なかにし礼
作曲:鶴岡雅義

愛しながらも 運命に敗けて
別れたけれど 心はひとつ
ぼくの小指を 口にくわえて
涙ぐんでた 君よ
ああ 今でも愛している
君は心の 妻だから

めぐり逢えたら はなしはしない
二人といない やさしい人よ
君のうなじの あのぬくもりが
わすれられない 今日も
ああ 思えば涙が出る
君は心の 妻だから

強く生きるよ 生きてることが
いつかは君に 幸せ運ぶ
ぼくにすがって 胸をたたいて
きっと泣くだろ 君は
ああ その日を夢見ている
君は心の 妻だから


78.なみだの操

作詞:千家和也
作曲:彩木雅夫

あなたのために 守り通した女の操
今さら人に 捧げられないわ
あなたの決して お邪魔はしないから
おそばに置いて ほしいのよ
お別れするより 死にたいわ
女だから

あなたの匂い 肌に沁みつく女の操
棄てられたあと 暮らしてゆけない
私に悪いところが あるのなら
教えてきっと 直すから
恨みはしません この恋を
女だから

あなたにだけは 分かるはずなの女の操
汚れを知らぬ 乙女になれたら
誰にも心変りは あるけれど
あなたを 疑いたくない
泣かずに待ちます いつまでも
女だから


79.月の法善寺横町

作詞:十二村哲
作曲:飯田景応

庖丁一本 晒(さらし)にまいて
旅へでるのも 板場の修業
待ってて こいさん
哀しいだろが
あゝ 若い二人の 想い出にじむ法善寺
月も未練な 十三夜

「こいさんが私(わて)を、初めて法善寺へ連れて来てくれはったのは、
「藤よ志」に奉公に上った晩やった。
「早う立派な板場はんになりいや」言うて、
長い事水掛不動さんにお願いしてくれはりましたなァ。
あの晩から私は、私はこいさんが、好きになりました。」

腕をみがいて 浪花に戻りゃ
晴れて添われる 仲ではないか
お願い こいさん
泣かずにおくれ
あゝ いまの私には 親方はんにすまないが
味の暖簾にゃ 刃が立たぬ

「死ぬ程苦しかった私らの恋も、親方はんは許してくれはった。
あとはみっちり庖丁の修業を積んで一人前の料理人になる事や。
「な、こいさん、待っててや……。ええな、こいさん。」 」

意地と恋とを 庖丁にかけて
両手あわせる 水掛不動
さいなら こいさん
しばしの別れ
あゝ 夫婦善哉 想い出横丁法善寺
名残りつきない 燈がうるむ


80.酒場にて

作詞:山上路夫
作曲:鈴木邦彦

好きでお酒を 飲んじゃいないわ
家にひとり帰る時が こわい私(あたし)よ
あのドアを開けてみたって
あなたはいない
暗い闇が私を 待ってるだけよ
また長い夜をどうして
すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋

どうぞお店が 終る時まで
ここにおいてひとりだけで
飲んでいるから
死ぬことも出来ず今でも
あなたを想い
今日もひとり酒場で
泣いてる私
また長い夜をどうして
すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋

死ぬことも出来ず今でも
あなたを想い
今日もひとり酒場で
泣いてる私
また長い夜をどうして
すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋



名曲・日本のこころ 歌心